集積点を持つ点列の部分列をとって収束列を作る
目次
- 命題
- 証明
- 補足の説明
- 補足の証明
1. 命題
\( \displaystyle\left(X,d\right) \)を距離空間、\( \{x_n\} \)をXの点列とし、\( \bar{x} \in X \) を \( \{x_n\} \)の集積点とする。このとき、\( \{x_n\} \)の部分列で\( \bar{x} \)に収束するものが取れる。
2. 証明
d\( \displaystyle\left(x_n,\bar{x}\right) < 1\)
を満たす自然数nを\( n_1 \)とする。また、
d\( \displaystyle\left(x_n,\bar{x}\right) < \frac{ 1 }{ 2 }\)
を満たし、かつ
\( n_1 < n_2 \)
となる自然数\( n_2 \)をとる。同様にして
d\( \displaystyle\left(x_n,\bar{x}\right) < \frac{ 1 }{ k }, n_{k-1} < n_k \)
を満たすような自然数\( n_k \)をとる。これらの自然数から部分列\( \{x_{n_k}\} \)を作る。この部分列は\( \bar{x} \)に収束する。実際、\( \forall \varepsilon \) > 0 に対して、\( \varepsilon > \frac{ 1 }{ K } \)となるような自然数Kをとれば
\(k > K \Longrightarrow d\displaystyle\left(x_{n_k},\bar{x}\right) < \frac{ 1 }{ k} < \frac{ 1 }{ K } < \varepsilon \)
が成り立つ。
3. 補足の説明
上記の証明では\( n_{k-1} < n_k \)を満たすようなkが必ず見つかることを証明なしに用いている。以下ではそのようなkが必ず見つかることを示す。
4. 補足の証明
n > \( \bar{n} \Longrightarrow d\displaystyle\left(x_n,\bar{x}\right) > d\displaystyle\left(x_{\bar{n}} , \bar{x}\right)\)
を満たすような\( \bar{n} \)が存在すると仮定する。また、
\( d\displaystyle\left(x_{\bar{n_k}}, \bar{x}\right) < \frac{d\displaystyle\left(x_{\bar{n}} , \bar{x}\right)}{k} \)
を満たす\( x_{\bar{n_k}} \)をとる。ここで、\( \bar{n_k} < \bar{n} \)であることに注意する。自然数kは無限に大きくできるのに対し、\( \bar{n} \)以下の自然数は有限個である。よって、
\( \forall \varepsilon > 0, d\displaystyle\left(x_{\bar{n_\varepsilon}}, \bar{x}\right) < \varepsilon \)
を満たす\( x_{\bar{n_\varepsilon}} \)が存在することになる。これを満たすには
\( d\displaystyle\left(x_{\bar{n_\varepsilon}}, \bar{x}\right) = 0 \)
とならなければならない。これは集積点の定義と矛盾する。よって、
\( \forall \bar{n} \in \mathbb{N}, \exists{n} > \bar{n} (n \in \mathbb{N}) \) s.t. \( d\displaystyle\left(x_n, \bar{x}\right) < d\displaystyle\left(x_{\bar{n}}, \bar{x}\right) \)
が成り立つ。