【インデックス】Morningstar米国配当成長株式指数とは
Morningstar米国配当成長株式指数とはMorningstar Indexesが算出する株価指数の一種です。本記事ではその銘柄選定基準を解説し、この指数と連動するETF等を購入するべきかどうかを考えたいと思います。
目次
Morningstar米国配当成長株式指数とは
Morningstar米国配当成長株式指数とはMorningstar Indexesが算出する株価指数で、配当の成長実績とその成長を維持する能力がある株式を対象としています。構成銘柄の数は決まっていませんが、2024年8月31日の時点では412銘柄が組み入れられています。銘柄の入れ替えは毎年12月に行われ、銘柄の組入割合は四半期ごとに行われます。
銘柄選定基準
親指数
Morningstar米国配当成長株式指数の構成銘柄はMorningstar米国株式指数の構成銘柄の中から選ばれます。ただし、REITは構成銘柄として選ばれません。
スクリーニング
親指数の構成銘柄の中から以下の条件を満たすものをピックアップします。
配当の成長性
構成銘柄に選ばれるには五年間連続して年間配当が成長している必要があります。ここでいう年間配当とは年間の予想配当額、もしくは過去12ヶ月の合計配当額のことをさします。
配当の維持能力
親指数の構成銘柄のうち、配当が支払われている銘柄の中で予想配当利回りが上位10%の銘柄は除外されます。ここでいう予想配当利回りは以下のように定義されます。
予想配当利回り = 直近1株あたりの配当金額 × 年間の配当金支払い回数 ÷ 直近1株あたりの価格
また、今後12ヶ月の予想配当性向が75%未満でなければなりません。配当性向とは利益に対する支払った配当金の割合を表します。配当金にお金を回しすぎると成長への投資ができなくなってしまうので、以上の2つの条件によって過剰に配当金が支払われていないかをチェックしているのだと思います。さらに、予想利益がプラスでない銘柄は除外されます。
加重方式
構成銘柄の割合は配当金額が多い銘柄ほど高くなるようにします。しかし、1銘柄の割合が3%を超えないように設定します。銘柄の数が少なくて3%を超えてしまう場合は1%ずつ上限を上げていって調整します。
銘柄入れ替え
既存の構成銘柄は銘柄入れ替え時に配当金額が引き下げられておらず、かつ過去12ヶ月間に実施された自社株買いによって発行済み株式数が減少している場合はそのまま構成銘柄として採用されます。また、親指数の方が銘柄見直しの頻度が高いため、親指数から除外された銘柄はその時点で当指数の構成銘柄からも除外されます。
Morningstar米国株式指数とは
Morningstar米国株式指数とは米国株式市場の時価総額上位97%を占めることを目指す株式指数です。構成銘柄はニューヨーク証券取引所、ナスダック、NYSE Market LLCのいずれかで取引されている普通株、REIT、トラッキングストック(特定の事業部門の業績にリンクした株式)の中から選ばれます。また、主に米国で活動し、米国、グアム、プエルトリコ、米領バージン諸島のいずれかで設立されている企業の銘柄でないと構成銘柄として採用されません。毎年6月と12月に銘柄の再編成、3月と9月に銘柄の割合の調整が行われます。詳細な銘柄選定基準は以下の通りです。
投資可能ユニバース
前四半期に10日以上取引がなかった株式は構成銘柄の候補から除外されます。その後残った銘柄を投資可能ユニバースと呼びます。
スクリーニング
以下の条件を満たす銘柄の浮動株時価総額加重で指数は算出されます。
時価総額
時価総額が投資可能ユニバースの上位97.25%に入っていなければなりません。
流動性
以下の平均順位が投資可能ユニバースの上位75%に入っていなければなりません。
- 直近6暦月間の月刊平均取引量(6ヶ月未満の法人は証券が最初に発行されてからのデータを用いる。1ヶ月未満の期間はその月の取引日数で按分する。)
- 直近暦月間における取引量が最も少なかった2ヶ月の合計取引量(月は連続している必要はない)
平均利回り
Morningstar米国配当成長株式指数の2014年から2023年までの平均年利は約11%でした。各年の利回りは以下の通りです。
2014 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | |
年間利回り(%) | 13.53 | -0.58 | 15.32 | 22.97 | -2.17 | 30.15 | 9.50 | 26.69 | -7.75 | 10.45 |
連動するETF等を購入するべきか
分配金には期待できない
当指数はトータルリターン方式といって、支払われた配当金は再投資に回されます。ですので、この指数に連動するETFを購入しても分配金にはあまり期待できないでしょう。実際、SBI証券で売られている当指数に連動するETFの分配金利回りは1%を切っています。
過去のリターンはS&P500の方が高い
2014年から2023年のS&P500の平均年利は約15%なので、過去のデータから見るとS&P500の方がパフォーマンスが良かったことになります。
実績評価の厳しさ
S&P500の構成銘柄に選ばれるには直近四半期の利益が黒字、かつ直近4四半期通じての利益が黒字でなければなりません。一方、Morningstar米国配当成長株式指数の構成銘柄は5年間連続で配当金が増えているか減っていないという条件を満たしています。そう考えると、より長い期間安定した利益を出しているのは後者の指数に組み入れられた企業なのかもしれません。
組入割合の違い
S&P500の構成銘柄の割合は時価総額で決まるので、大企業の株価に大きく影響を受けるという特徴があります。一方、Morningstar米国配当成長株式指数の構成銘柄の割合は配当金額で決まります。このことから、時価総額ではなく株価が高い銘柄の価格変動に大きな影響を受けるということです。ただ、1銘柄の構成割合に上限が設けられているため、S&P500ほど大きな偏りは生じません。時価総額加重の方がより市場を正確に表しているとされますが、極力偏りなく分散投資をしたい場合はMorningstar米国配当成長株式指数のような指数に連動するETF等を購入した方が良いと思います。